仏像と徳川御成御殿公開 西国三十三所 第2番 紀三井寺 (3)

紀三井寺の新しい巨大観音様を拝観した後、
本堂に向かいます。

本堂

紀三井寺23


紀三井寺は「さくら名所100選の地」のひとつです。
本堂へ導く木々はすべて桜なのでしょう。
春にはさぞや美しいことでしょうね。

本堂前のソメイヨシノ標本木

紀三井寺24


紀三井寺の桜は関西一の早咲きといわれており、
この桜の木が気象庁の開花宣言の目安とされています。

さて、「紀三井寺大光明殿重文仏像並に紀州藩主御成御殿特別公開」の
参加希望者の集合がアナウンスされています。
運良く公開日にお参りに来られたのですから、この特別公開を見ずして
帰るわけにはいきません。
境内散策は後回しにして、納経所で受付をしていただきました。
拝観の所要時間は40分程度だそうです。

紀三井寺25


本堂の中に入れていただきました。
中央に古いお厨子があって、周囲に仏像群、
お香の香りがただよう厳かな空気です。

案内役のご立派な体格のお坊様がいらっしゃいました。
この紀三井寺は和歌山の風光明媚なところにあるのですが、
見事に台風通過コースにあたることが多く、海から吹きつける風により
昔から度々被害を受けてきたそうです。

紀三井寺の国指定重要文化財は8件で、
約500年前に建立された楼門、520年前の鐘楼、560年前の多宝塔、
そして5体の仏像です。

50年に一度ご開扉される秘仏、御本尊の十一面観音像と並び立つ千手観音像は
本来は本堂のこの古いお厨子の中に安置されるべきなのでしょうが、
この秘仏を含む重文の5体の仏像を何としてでも災害からお守りしようと
本堂の裏に、大光明殿という収蔵庫が昭和58年に建立されたそうです。

「では、ご案内します」、ということで、お厨子の裏に回りました。
そこには渡り廊下があり、そこを通って大光明殿へ。
中央に真新しく見えるお厨子、両脇に2体ずつの仏像が安置されています。

「建物の中は檜張りの木造のように見えますが、外側は頑強なコンクリート造りと
なっています。」

「中央のお厨子の中には、秘仏御本尊の十一面観世音菩薩立像、
そして二体を一度にお祀りするというのはとても珍しいことですが、
千手観世音菩薩立像も安置されています。
宝亀元年(770)に、唐からの僧、為光上人というかたが、たまたまこの名草山に
お越しになった際、山の頂上が白く光るのを不思議に思い、上って来られると
金色に輝く千手観音様を発見されました。
その千手観音を胎内仏として、自ら十一面観音を彫られて草庵に安置したのが
紀三井寺の始まりです。
そのことから、紀三井寺では二体の観音菩薩様を並べて安置するようになったのだと
思われます。」

「紀三井寺のお山ですが、それほど高くない山の麓から泉が湧くというのは
非常に珍しい現象で、古来より特別なお山だと思われてきたようです。」

「時々お尋ねになるかたがあるのですが、秘仏で50年に一度のご開扉といっても
お坊様たちは時々中をご覧になっているのでしょう?と言われるのですが、
そんなことはまったくなくて、私どもも50年に一度しか拝見できないのです。
次のご開扉は、お寺の創建1250年にあたる2020年、ちょうど東京五輪の年に
なります。ぜひまたお元気にお参りいただけましたら、と思います。」

録音しているわけではないので正確さに欠けるかもしれませんが、
だいたいこのようなことをお話になったと思います。

そして、両脇に並ぶ仏像群のご説明。
お厨子の両脇に脇侍のようにお立ちになっているのは
左に帝釈天立像(重文)、右に梵天立像(重文)。
帝釈天立像には細やかな彫り跡や色彩も残っている精巧な像です。
一方、梵天立像はなかなかユニークで、元々は菩薩像として彫られたような体裁があり、
おまけにおへそまであるのです。
仏様は人間ではないので、おへそがあるのはおかしなことなんだそうです。
(なるほど!)
それらのことから、プロの仏師ではなく、修行僧のような立場の人が
彫られたのではないか、とのことでした。
その梵天像の右隣には十一面観音菩薩立像(重文)、
左端には毘沙門天立像・・・
「どうぞ1-2分、お近くでご覧ください」、ということで
大切で美しい仏像を間近で拝見できる機会を本当にありがたく感じました。

この後、御殿のほうに案内していただきました。
こちらは紀州徳川家の御座所です。
紀州徳川家の歴代藩主は繁栄を紀三井寺に祈願し、
宝物を寄進してきたそうです。
廊下にはお殿様がお乗りになったであろう籠などの展示もあり、
広間のほうに通していただきました。
まず、欄間が紀三井寺の「井」の字に組まれた意匠になっています。
続きの広間になっており、最初の広間は鶴に日の出のおめでたい襖絵。
次の広間は四季の襖絵。おもしろいのは、夏の場面にひまわりが
描かれているんです。これは近代に描かれた襖絵で、
古い襖絵にひまわりが描かれることはありません。
また春の場面に必ずあるはずの桜がない。
それは、その季節になれば、そこから外を眺めれば、見渡す限りの桜を
楽しむことができるからだそうです。

突き当たりはお殿様のお部屋。
なんと、案内のお坊様が「ここだけは写真撮影していただいてもよろしいです」、との許可。

このようなかんじです。

紀三井寺26


紀三井寺27


紀三井寺28


紀三井寺29


高貴なかたをお迎えするお部屋の独特の天井、
床の間の置物は、伝説の生き物、獏(ばく)だそうです。
獏は「邪気を払う」をいう意味が込められているようです。
お坊様が、「どうぞご自由にお殿様の場所にお座りください」とおっしゃって
くださったのですが、皆畏れ多く思ったのか、誰一人お座りになるかたは
ありませんでした(笑)。

いやー、特別中の特別の公開で、非常に興味深い、ありがたい体験となりました。


(つづく)
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